高速なインターネット契約をしているのに通信速度が遅い、と感じることはないでしょうか?
インターネットが遅いのは通信業者側とユーザー側、それぞれにいくつかの原因が考えられるため、原因を解明するには一つずつチェックする必要があります。
※Wi-Fiが遅い場合の対策法については当サイトの パソコンのWi-Fi(無線LAN)が遅い・途切れるときに試してほしい対処法 を参考にしてください。
※用語について
- モデム:ADSLやCATV回線などとパソコンを接続する機器
- ONU(光回線終端装置):光回線とパソコンを接続する機器
- ルーター:1つのインターネット回線を複数のパソコンなどで使う分配器
モデムとONUは扱う信号が違うだけで、インターネット回線とパソコンをつなぐという役割は同じです。このページで単にモデムという場合は、光回線のONUも含む場合があります。また、モデムやONUにはルーター機能を内蔵しているものもあります。
- プロバイダー(Internet Service Provider):ユーザーのパソコンなどをインターネットに接続する業者
- LAN(Local Area Network):ここでは家の中でWi-Fiや有線でインターネットにつながっている機器のネットワークのこと、という認識で十分です。
ユーザー側でチェックしてみるポイント
モデムが劣化している可能性
モデムやルーターは何年も電源を入れっぱなしで使い続けるので、何年か経つと機器そのものが寿命を迎えていることがあります。
私の自宅でも回線スピードが1Mbpsも出ない状態が頻発するようになったときがありましたが、プロバイダーにモデムを交換してもらい解決したことがあります。
インターネット契約してから数年経っているなら、一度プロバイダにモデムの状態を確認してもらうことをお勧めします。
ルーターの劣化とスペック
モデムとパソコンのあいだに市販のルーターを介している場合は、一度ルーターを外して、パソコンとモデムを直結した状態で通信スピードを計測してください。
その状態で十分なスピードが出ればルーターの劣化が疑われるので、新しいものに買い替えたほうがいいでしょう。
また、低価格なルーターはLAN(有線)ポートが100Mbpsまでしか対応していないものがあり、せっかく高速なインターネット契約をしていても、ルーターがボトルネックとなっていることもあります。
ファームウェアをアップデートする
モデムやルーターなどのネットワーク機器は、ファームウェアというプログラムを更新することで通信品質が改善したり安定することがあります。
ファームウェアが自動アップデートされる機器は常に最新の状態になっていますが、ユーザーが自分でアップデートしなければならないものもあるので、お使いの機器のマニュアルを確認してファームウェアが最新の状態になっているか確認してください。
LANケーブルの規格が古い
LANケーブルも規格によって通信速度に違いがあります。
最大1Gbpsの光回線を契約していても、CAT5のLANケーブルだと通信速度が1/10になってしまいます。
通信速度 | 帯域 | |
CAT5 | 100Mbps | 100MHz |
CAT5e | 1Gbps(≒1000Mbps) | 100MHz |
CAT6 | 1Gbps | 250MHz |
CAT6A | 10Gbps | 500MHz |
CAT7 | 10Gbps | 600MHz |
CAT7A | 10Gbps | 1000MHz |
上のクラスにいくほど通信スピードは速くなりますが、最大1Gbpsの『フレッツ光ネクスト』ならCAT6を使っていれば十分でしょう。
また、LANケーブルも長年使っていると劣化したり断線することがあるので、そういう場合は新しいケーブルに交換してみてください。
パソコンのスペックが低くて通信スピードが出ない?
慢性的に通信スピードが遅いときは、パソコンの処理性能が低いことも原因の一つとして考えられます。
古いパソコンはプロセッサやメモリなどを含めたトータル性能が今どきのパソコンより低いので、同じ条件なら新しいパソコンよりネットのスピードは遅くなります。
今どきのパソコンならネットが遅くなるようなことはありませんが、あまり古いパソコンは内蔵されているLANカードが100Mbpsまでしか対応していないことがあります。
ただし、パソコンの性能はプロバイダが責任を逃れる口実として使われることもあります。
マルウェアの感染とセキュリティソフトの重複
パソコンを買うとセキュリティソフトがインストールされていることがありますが、たいていは90日ほどのお試し期間となっており、継続して使う場合は有料となります。
もし、お試し期間が過ぎたまま使っていると、新しいマルウェアに対応できずにパソコンが感染してしまいます。
パソコンがウィルスやスパイウェアに感染すると、ユーザーが気づかないうちにバックグラウンドで実行されていたり、大量のデータの受送信が行われて通信スピードが下がることがあります。
また、あとから他のセキュリティソフトをインストールするときも注意が必要です。
セキュリティソフトはその性質上システムに深く干渉するので、複数のセキュリティソフトをインストールすると干渉してしまい、パソコンの動きが遅くなってしまいます。
新しいセキュリティソフトをインストールするときは、必ず古いものを削除して、一度再起動してから入れるようにしてください。
回線業者に原因がある場合
近ごろNTT東西の『フレッツ光ネクスト』ユーザーのあいだで、インターネットが遅い、とくに夜間は我慢できないほど遅いという不満が高まっているようです。
この原因はプロバイダ―が加入者を増やしすぎたことや、YouTubeなどの動画サイトの利用者が多くなって通信量が増えすぎたために、NTTの回線とプロバイダを接続する部分で渋滞が起こっているためです。
解決策としてはユーザー数の少なそうなプロバイダに乗り換える方法もありますが、今まで使ってきたメールアドレスが使えなくなるなどのデメリットもありますし、また、同じプロバイダでも地域によって混雑具合が違うので、空いているプロバイダを見極めるのは難しいでしょう。
そこで、もっと簡単な解決方法として、以下の方法をおススメします。
IPv6(IPoE)が使えるプランに変更する
NTT回線とプロバイダーの接続ポイントが混雑しているのは「IPv4(PPPoE)」という、これまで使われてきた接続方法だけで、新しい「IPv6(IPoE)」 という規格では混雑せずにスムーズにつながっています。
急に意味不明な用語が出てきてしまいましたが、今は古い「IPv4(PPPoE)」から新しい「IPv6(IPoE)」という接続方法に移行する過渡期になっています。
「IPv6(IPoE)」は混雑しやすいNTTとの接続ポイントを特定の接続業者が管理しているなど、「IPv4(PPPoE)」での問題点が解消されています。
プロバイダーが提供している「IPv6(IPoE)」方式のプランに変更すれば快適な通信スピードを得ることができるので、現時点でインターネットが遅い問題を解決する方法としては、これがベストだと思います。