アダルトサイトを観たらいきなり「登録完了しました」と表示されたり、「ご利用料金が未納になっています」というメッセージがケータイに届いたら、そりゃ誰だってビックリしますよね。しかし、これらは詐欺です。
詐欺ですから、完全に無視するのがベストな対応です。しかし、こうした詐欺の手口を知らないため被害にあう人たちがあとを絶ちません。
そこで今回はアダルトサイトの典型的な手口を紹介し、それらが法的に無効というお話をします。
アダルトサイトの手口と「電子消費者契約法」
【事例1】アダルトサイトで「登録完了」と表示された
34歳の男性Aさんは、自宅のパソコンでアダルトサイトを検索しアクセスした。
「無料動画はこちらから」と書かれたリンクをクリックすると、いきなり「登録完了しました」と表示され、その下には高額な利用料金と期日までに支払いがない場合は法的手続きに入ると書かれていた。
シャッター音が鳴って「個人情報が保存されました」
こうした手口は詐欺だと知られるようになったため、最近はシャッター音が鳴って「登録完了。あなたの個人情報が保存されました」と表示されるケースもあります。
ユーザーに自分の顔写真が撮られたと誤解させ、料金を払わなければインターネット上に流出されると思わせる手口です。
しかし、ほとんどは実際に写真が撮られているわけではありません。シャッター音の音声ファイルをWebブラウザに再生させているだけですが、やましいサイトを観ている最中だけに心理的な効果はてきめんです。
「登録完了」だけでは詐欺だとわかっていても、顔写真が撮られたかもしれないと思うと冷静ではいられなくなる心理をうまく突いています。悪い奴ほど、よく頭を使っていますよね。
この場合も無視するのが最善の策ですが、中にはほんとうに撮影されている可能性がないとは言えません。
というのも今のWeb制作では、ユーザーの端末にあるカメラやマイクを操作することが簡単にできるようになっています。この方法を悪用して、Webサイトを観ている人の顔をこっそり撮影している可能性が、まったくないとは言えません。
ただ、この手口は簡単に防ぐことができます。
それは、パソコンのWebカメラやスマートフォンのイン側カメラを物理的に塞いでしまえばいいだけです。
一番手軽な方法としては、シールやテープをレンズに張り付けるだけです。しかし、それではカメラを使いたいときに不便なので、シャッター式のレンズカバーを利用するのがいいでしょう。
【事例2】ケータイに「料金未納」のメッセージが届いた
50代の男性Bさんのスマートフォンに「ご利用料金の支払いの確認が取れていません」というメッセージが届いた。メッセージに記載された電話番号にかけると、有料動画サイトに加入しているので料金を支払うように言われた。
さらに別の調査業者と名のる人物から「あなたの個人情報がインターネットに拡散されている」と連絡が入り、その対処のための費用を支払わされた。
Bさんはこれらの手口に騙された結果、総額680万円もの被害に遭った。
これは北海道の男性が実際に遭った被害を基にした例です。
Bさんはアダルトサイトと調査業者への料金を数回に渡って支払ったあとで不安になり、警察に届けました。
傍から見ればもっと早い段階で詐欺と気づくように思えますが、こうしてアッサリ騙されてしまう人は意外に多いものです。
プロセスを経ない契約は法的に無効
事例1のAさんのように、アダルトサイトに「登録完了」と表示されて料金を請求される、というのは定番のパターンですね。ある意味、どんな画像よりも刺激的でドキドキします。
しかし、こうした契約方法は法律的に無効です。無効ですから完全シカトでノープロブレムです。
アダルトサイトに限らず、インターネットでは問題のある取引が多すぎたため、「電子消費者契約法」という法律が作られました。
この法律では、事業者が契約内容を確認する画面などを提供していない場合、ユーザーは契約の無効を主張できるとしています。
たとえばAmazonや楽天市場で買い物をするときは、必ず商品や数量に間違いないか確認するページが表示されますよね。ユーザーはそこで最終的に確認してから注文を確定します。このちょっと面倒なプロセスは「電子消費者契約法」に則って行われているわけです。
アダルトサイトはこうした法的プロセスを経ずに、クリックしただけで契約が締結されたようにユーザーを騙しているので、請求されても料金の支払いをする必要はありません。
アクセスしただけで身元はバレません
それでも多くの人たちが慌ててしまうのは、こちらの身元が相手に伝わってしまったと思っているからではないでしょうか?
これも簡単に言うと、アクセスしただけでこちらの個人情報が伝わることはありません。
Webサイトの運営者にわかるのは、ユーザーのIPアドレス、パソコンかスマートフォンか、OSはなにか、どこの国か、利用しているプロバイダーはどこか、というくらいです。そこから個人を特定できる情報は得られません。
もちろん、あなたが加入しているプロバイダーはIPアドレスからあなたを特定することはできますが、Webサイトの運営者がプロバイダーに個人情報を問い合わせても教えることはありません。警察でさえ問い合わせるには法的な手続きが必要となります。
料金の支払い方法と二次被害を狙う調査業者
コンビニを利用して支払いをさせる手口が多い
アダルトサイトに料金を請求されたとき、具体的にどういう方法で支払いをさせられるか、その手口の一例を紹介します。
アダルトサイトは入会申込書を、コンビニのマルチコピー機を利用したFAXでユーザーに受け取らせることがあります。ユーザーはその書類に氏名や住所などの個人情報を記入し、同じようにFAXでアダルトサイトの運営者に返信します。
申込書には料金を振り込む口座番号も記載されており、ユーザーはコンビニのATMから指定された口座に入金します。
つまりコンビニに行かせるだけで、個人情報と料金を一挙に入手できるわけです。
しかし振込用の口座を用意するとそこから足がつくため、近ごろはコンビニで『Amazonギフトカード』などの電子ギフト券を購入させ、その番号をメールやメッセージで送信させる手口が増えています。
トラブルの解決を謳う業者にも注意!
アダルトサイトの「登録完了」に慌てたユーザーは、解決方法を求めてさらにインターネットで検索をすることがあります。
「アダルトサイト 登録完了 」などのキーワードで検索すると、「無料相談」「迅速な対応」「返金可能」などと謳う調査業者が表示されます。
こうした業者は、あたかも料金を取り戻せたり個人情報を削除できるように言いますが、これもまた詐欺であることが大半です。
とくに悪質な業者になると実際の調査は探偵に丸投げし、アダルトサイト運営者の簡単な情報を提出するだけで高額な調査費用を請求します。
こうした調査業者は実はアダルトサイトの運営者と同じ組織だったり、過去にアダルトサイトの被害に遭った人の名簿を入手してアプローチすることがあります。
とにかく無視! それでも不安なら188にTEL
また、調査会社の中は公的な消費者センターなどに似せた紛らわしい名称を使っていたり、早く手を打たないと裁判所に訴えられるなどと偽ってユーザーを不安にさせることがあります。
こうしたインチキ調査業者の二次被害に遭わないためには、国民生活センターなど正しい公的な機関を知っておくことですが、もっと簡単な方法は「188」に電話するだけです。
「188」は全国統一の消費者ホットライン番号で、全国各地の消費生活センターや国民生活センター等で相談を受けることができます。
もしアダルトサイトに料金を請求されても、慌てずに無視すること。それでも心配なら「188」に電話をかけて相談するようにしてください。