ADSLってなに?

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ADSLは非対称

ADSLは普通の電話線を使って、高速にインターネットを利用できる通信回線だというのはご存知と思います。

ADSLはAsymmetric Digital Subscriber Lineの略ですが、Asymmetricとは「非対称」という意味で、上り速度と下り速度が違うことを意味しています。

上り速度とは、あなたのパソコンからプロバイダに対する通信速度、「下り速度」はその反対です。

インターネットを使う場合、データを送信するより受け取ることのほうが多いので、この方式が採用されました。元々は電話回線を使ってビデオ配信をするために開発された技術です。

ADSLもダイヤルアップ接続と同じく一般の電話回線を使って通信をします。それなのに通信速度に雲泥の差があるのは、帯域という通信に使う周波数の幅が違うからです。

そもそも電話回線は人間の声を信号に変換して通信するための回線ですから、使用する周波数は狭い帯域でじゅうぶんでした。ダイヤルアップ接続は、この狭い周波数の帯域を使って通信します。

インターネット普及期には当たり前の接続方法でしたが、一度接続するごとに電話料金が発生するので、毎月の電話料金にドキドキした人もいるんじゃないでしょうか?

ADSLはダイヤルアップよりも広い帯域を使って高速な通信をしますから、広々したコースの上を全力疾走することができます。

ただADSLはスタミナにちょっと問題があって、通信距離が長いと途中で勢いが弱くなったり、信号ノイズの影響を受けて速度が大きく低下するなど、障害物リレーには向かない体質です。

ユーザーのところをゴールとすると、スタートラインになるのが、NTTの収容局という施設です。収容局とユーザーまでの距離が遠いと、信号が届かずにADSLが利用できなかったり、期待した速度が得られないことになります。短距離走から、ギリギリ中距離走までしか出場できません。

DSLの種類

ADSLは上下非対称ですが、DSLには上下の速度が同じ通信規格もあります。それについては、あとで説明しますが、これらを総称して「xDSL」といいます。

Annex A

「Annex A」は、主に北米やヨーロッパで使われているADSLの規格です。日本でも代表的なところでは「Yahoo! BB」が当初Annex A規格を採用しました。

Annex Aは、ISDN回線と使用する周波数の帯域が一部重複しています。そのため近くにISDN回線が通っていると干渉を受けて、速度が低下しやすいという欠点があります。

Annex A.ex

Yahoo! BBがAnnex Aをベースに開発した拡張規格です。

Yahoo! BBはサービスを開始した頃に、従来のAnnex AではISDNとの干渉で速度が出ないという問題を抱えていたので、その問題をクリアするために開発されました。

本来は上り方向の通信に使っている周波数の帯域を、一部分だけ下りの通信にも使って、Annex A規格より高速で長距離な通信ができるようになりました。また、この周波数帯域は、ノイズにも強いという特徴があります。

Annex C

Annex Cは、日本国内でもっとも多く採用されているxDSL規格です。

IDSN回線との干渉の程度によって速度を落として、干渉が少ないときは速度を上げるという方法を取っています。

Reach DSL(リーチDSL)

Reach DSLは上りと下りの速度が対象な通信規格です。

Reach DSLの特徴は上下方向の通信速度を1メガbps程度に抑える代わりに、
信号の伝達距離を長くすることができることです。そのためADSLが利用できない地域のユーザーでも、ISDNやダイヤルアップより格段に高速な通信回線が利用できるというメリットがあります。Yahoo! BB Yahoo! BBでも、通常のADSLが利用できないユーザー向けに、Reach DSLのサービスを提供していました。

伝送損失

ADSLは前述のように、NTTの収容局とユーザーまでの距離によって通信速度に大きく差が出ます。一般的には収容局との距離は4kmまでがADSLをギリギリ使えそうな距離だと言われています。

ADSLサービスの名前に「○メガプラン」などと通信速度が使われていても、それに近い速度を得られるのは、よほど収容局に近い場合です。距離やノイズによる伝送損失が30db程度になると、8メガ以上のサービスでは通信速度に大差ないほど速度が落ちます。

私の住んでいるところは収容局との距離が4.7kmあり、伝送損失は47dbあります。今の住まいに越してきたときに、NTTのオペレーターから「お勧めできません」とキッパリ言われ、
高い工事費用を払ってケーブルテレビ回線を利用することになってしまいました。

NTT収容局と自宅との距離、伝送損失は、NTTの通信速度チェックコーナーから調べることができます。自宅の電話番号を入力すると、収容局との距離、伝送損失が表示されます。実際に現在どれくらいの通信速度が出ているかを調べるには、「BNRスピードテスト」というサイトでチェックすることができます。

ADSL回線を利用するには、家庭内での設置状況にも気をつける必要があります。

ADSLがノイズに弱いということはすでに言いましたが、家庭の中にもノイズの発生源がたくさんあります。例えば電子レンジやテレビ、冷蔵庫などです。

ADSLモデムやケーブルがこれらの電化製品の近くにあると、ノイズの影響を受けて速度の低下につながります。コンセントが冷蔵庫などと一緒という場合もそうです。

伝送損失が少ない割には速度が出ない場合、家庭内の通信環境をチェックしてみてください。