CPUを検証せよ!「第2世代 Core i プロセッサ」 其の三

知っ得!パソコン塾 編集部レポート「CPUを検証せよ!」シリーズ。
前回は旧Pentiumプロセッサ時代を振り返り、その進化の過程や限界についてみてきました。
Core-i7-SB.jpg
今回からはタイトルどおり、2011年に登場したインテルの「第2世代Core iプロセッサ」の特徴について、まずはグラフィックス性能にスポットをあてて見ていきます。


本題の「第2世代Core iプロセッサ」に入るまで、前回、前々回と2ページも使ったな。

前回 :CPUを検証せよ!「第2世代 Core i プロセッサ」 其の一
前々回:CPUを検証せよ!「第2世代 Core i プロセッサ」 其の二

まあ、ときには立ち止まって振り返ることも必要ですから。

それが単なるページ稼ぎじゃなければ、だけどな?

さて、いよいよ今回からはインテルの新しいCPU「第2世代Core iプロセッサ」の検証にはいります!
まず第2世代Core iプロセッサの主な目新しい特徴としては、次のようなものがあります。

  • CPUとグラフィックス(GPU)の統合
  • 新しくなった2種類の内蔵グラフィックス機能
  • CPUとGPUの集中管理とオーバークロック
  • 新しい拡張命令を搭載
  • 消費電力と発熱量の軽減

今回はこのうち上から3つめまで、グラフィックス性能について見ていきましょう。

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CPUとグラフィックス(GPU)の統合

まず第2世代Core iプロセッサでは大きな変更点として、これまでは別々だった内蔵グラフィックスとCPUが完全に一体化されました。この変更で内蔵グラフィックスの描画性能が大きく向上し、新機能の搭載も行われています。

ちょっと構造的な話になりますけど、これまでインテルの内蔵グラフィックスは、チップセットの中に内蔵されていました。下の図はCore 2時代のインテル製プラットフォームですけど、CPUの下に2つのチップセットがありますね。グラフィックス機能は上側のG45チップセットの中に内蔵されています。
Core2Duo時代までのインテル・プラットフォーム
インテルのプラットフォームは、Core 2時代まで基本的にこのスタイルでした。CPUがあって、その下に2つのチップセットっていう構成です。
ノースブリッジと呼ばれる上側のチップセットは、CPUとメモリ、グラフィックスを仲介・制御するのが役目です。でもこの方法だと、いちいちチップセットを経由しなければならないので、あまり効率のいいシステムじゃないですね。
そこでインテルは先代のCore iプロセッサから、グラフィックス機能を含めてノースブリッジの機能を、CPUのパッケージ内に統合しました。下の図のとおり上側のチップセット(ノースブリッジ)がなくなって、サウスブリッジ1つだけになっていますね。
H57ChipSet.jpg Core iプロセッサからノースブリッジ側の機能がCPU内に収められた
但しこの時点じゃまだ、内蔵グラフィックスはCPUのパッケージに入っただけでした。そこで第2世代Core iプロセッサでは、CPUとグラフィックス機能が完全に1つの回路として設計されています。
第2世代Core iプロセッサの略図

上の図は第2世代Core iプロセッサの略図です。
左に内蔵グラフィック機能があって、中央上部にCPUコアが並んでます。右端のシステム・エージェントとかメモリ・コントローラは、以前はノースブリッジ側のチップセットが受け持っていた機能です。

これだとCPUとGPU(以下グラフィックス機能)が完全に一体化して、見るからに効率が良さそうって感じだな。GPUが全体の約1/4も閉めてるのか。

ところで図の下の赤い線はなんだ?

赤い線はGPUとCPU、システム・エージェントをつなぐ、リングバスという通信経路です。第2世代Core iプロセッサは、CPUとGPUがLast Level Cache(ラスト・レベル・キャッシュ)って呼ばれる3次キャッシュを共有して、リングバスで全体が接続されています。

ちょっと待った。
そもそもキャッシュとはなにか? ってのも説明したほうがいいんじゃないか?

ちょっと寄り道 「キャッシュとは?」

え~と、この場合のキャッシュっていうのは、CPUが自分の中に持っているメモリ領域のことです。

CPUは処理するデータをメインメモリと受け渡ししますけど、頻繁に使うデータは自分で持っていたほうが速いので、そうしたデータを置いておく場所がキャッシュです。
CPUのキャッシュとは?
キャッシュはメインメモリよりも高速に読み書きできますが、コストも高いので搭載できる容量も限られてきます。最近のCPUは設計は同じでも、キャッシュの搭載量でブランドを別にしている場合もありますね。

例えばインテルはCore 2 Duoプロセッサのキャッシュを減らして、PentiumプロセッサやCeleronプロセッサとして販売しているよな。基本設計やクロック数は同じでも、キャッシュ容量の違いで性能は大きく変わるってこと。

簡単ではありますけど、第2世代Core iプロセッサの構造については、こんな感じですね。

設計上のポイントは、内蔵GPUがCPUと完全に一体化されたことです。そしてこの改良によって、パワー・シェアリングなどの新しい機能が使えるようになりました。パワー・シェアリングについては、またあとでお話します。

新しくなった2種類の内蔵グラフィックス機能

第2世代Core iプロセッサでは、内蔵GPUが
インテル HD グラフィックス 3000
インテル HD グラフィックス 2000
の2種類になりました。

両者の違いは、処理を実行するユニットの数です。3000の実行ユニットは12個あるのに対して、2000は半分の6個となってます。
実行ユニットの数が大きく影響しそうなのは、主に3Dグラフィックスを描写する場合ですね。例えば実写のようにリアルな3Dゲームとかです。ふつうにDVDやブルーレイを再生するぶんには、気にすることはないと思いますよ。

そもそも3Dバリバリなゲームするなら、内臓GPUじゃなくて高性能なビデオカード使うよな。そう考えたら、いまいち中途半端な気がしないでもないな…

あくまでも内蔵GPUですからね。インテルでは普及クラスのビデオカード並みのスペックと言ってますから、それ以上ハイクラスのビデオカードのような性能は求めるほうがムリですよ。

でも今まで内蔵GPUの性能じゃAMDに差をつけられていたインテルが、第2世代Core iプロセッサで肩を並べたのは評価してもいいと思います。

じゃあインテル HD グラフィックス 3000と2000は、どういうグレード分けになるんだ? やっぱり高いパソコンに3000で、安い機種には2000てか?

インテル HD グラフィックス 3000は今のところ、すべてのモバイルPCと一部のデスクトップPCに搭載されることになっています。つまり基本的に3000はノートPC用ってことですね。

デスクトップPCなら、ビデオカード装着すればグラフィックス性能は上げやすいからな。むしろ内蔵GPUに頼ることが多いノートPCにこそ、描画性能のいい3000を積むのは正解だな。

動画のエンコードが激速な「インテル クイック・シンク・ビデオ」

インテル HD グラフィックス 2000と3000は描画性能が向上しただけじゃなく、高速なハードウェア・エンコードができるようになったのも大きなセールスポイントです。

エンコードって、動画を圧縮して容量を小さくすることだよな。一昔前ならマニアックなユーザーがやるイメージだったけど、今じゃiPodや携帯電話で観るためにエンコードすることが増えたな。

そうなんですよ。YouTubeとかの動画サイトでも、高画質な動画が観れるようになりましたね。でもそれをケータイなどに転送して観るには、動画を圧縮してファイルサイズを落とす必要があります。

これまで内蔵GPUしか搭載していないパソコンでエンコードするときには、CPUに任せてソフトウェア・エンコードしていたので、すごく時間がかかってました。それが短時間で済ませられるようになったのが、GPUコアをハードウェア・エンコーダーとして使う「インテル クイック・シンク・ビデオ」という機能です。
インテルの発表データですけど、クイック・シンク・ビデオだと旧Core i7-870の約半分の時間でエンコードが完了したという例もあります。だからCore 2プロセッサとか、それ以前のCPUからの買い替えなら、劇的な速さに感じるでしょうね。
但し、インテル クイック・シンク・ビデオが使えるのは、チップセットが「インテル H67 Express」で、表示機能は内蔵GPUのインテル HD グラフィックス 2000 / 3000を使っている場合に限られるという条件がつきます。

それでも低価格なノートPCでも気軽にエンコードできるメリットは大きいよな。デジカメやビデオカメラで撮影した動画をブログにアップするっていうときも、短時間で済むなら気軽にエンコードできるし。

もう1つ条件があるんですけど、インテル クイック・シンク・ビデオに対応したソフトを使う必要もあります。

右の画像はエンコード・ソフトの定番 TMPGEnc Video Mastering Works 5 ですね。ちなみにボクもこのソフト使ってます。価格が1万円以上は躊躇しますけど、一番使いやすくて画質もいいんで、安物買いで失敗するよりはいいかと思います。

CPUとGPUの集中管理とオーバークロック

GPUに関することなんで、もう少し続けますね。
第2世代Core iプロセッサでCPUとGPUが完全に統一されたことで、グラフィックスもクロックアップできるようになったんです。

ってことは、CPUのクロックが自動的に上がるインテル ターボ・ブーストみたいな機能か?

そうです。しかもターボ・ブースト機能も2.0にバージョンアップしたんですよ。

インテル ターボ・ブースト2.0とダイナミック・フリークエンシー

まず、もうお馴染みになったインテル ターボ・ブーストですが、2.0になって以前より高いクロックまで上昇できるようになってます。ちなみにターボ・ブーストってなに?という人は、このサイト内の インテル ターボ・ブーストとは をご覧ください。

ここで簡単に説明すると、ターボ・ブーストはCPUの電力消費や発熱に余裕があるとき、一時的にクロック数(1秒当たりの処理回数)を増やす機能です。
CPUにどれだけ余裕があるのかの判断ですが、旧バージョンではTDP(最大放熱量)の範囲内でのクロックアップに収めていました。第2世代Core iプロセッサでは以前より緻密にCPUの状態を管理するようになって、短時間ですがTDPを超えてクロック数をブーストできるようになっています。
ダイナミック・フリークエンシーは、GPU版ターボ・ブーストといえる機能です。高いグラフィックス性能を要求するソフトウェア、つまり画像や動画の編集ソフトなどを使用するときに有効になります。ダイナミック・フリークエンシーが搭載されるのは、デスクトップ版Core i7-2xxx プロセッサーと、Core i5-2xxx プロセッサーになります。
ターボ・ブーストとダイナミック・フリークエンシーの両方が同時に作動することはありません。たいていの場合はCPUパワーが必要なときと、GPUパワーが必要なときが分かれていますから。
こんなふうに状況に応じてCPUコアをブーストしたり、GPUコアをブーストしたりできるようにしたのが、さっきちょっと言った「パワー・シェアリング」という制御機能なんです。

こうしてみると、第2世代Core iプロセッサって低価格なノートPCのほうが大きなメリットを受けられるんじゃないのか?

描画性能の高いGPUを内蔵して、高速なエンコードができるノートパソコンが10万円以下で買えるようになるわけか。

確かに内蔵GPUが強化されたのは、ノートPCにとっては大きなメリットですね。

ただ第2世代Core iプロセッサが進化したのはグラフィックス性能だけじゃないんです。むしろ総合的な処理効率のアップと、それに伴う消費電力の低下などトータルバランスが第2世代と名乗る理由だと思います。
次回は第2世代Core iプロセッサに搭載された「インテル AVX」(Intel Advanced Vector Extensions)についてみていきたいと思います。

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