2011年の年明けに登場した、インテルの第2世代Core iプロセッサ。その新しい機能や特徴は?
の前に、今回はいったん、かつてのPentiumプロセッサ時代から現在まで、CPUの進化の歴史をザックリと振り返ります。
このページを読めばCPUのコア(命令を計算する部分)が増えた理由は?
CPUというミクロな世界が、意外にも実社会というマクロな世界と共通点があった? とか新しい発見があるかも、ないかもしれません。
シングルコアからマルチコアへ 集中から分散方式に
じゃあさっそくCPUがどんなふうに進歩してきたか? ひとまず過去のCPUを振り返ってみたいと思います。でもあんまり昔まで遡ってもしょうがないんで、馴染み深いPentium(ペンティアム)あたりからいきましょうか。 注)現在発売されているPentiumプロセッサとは違います。
このころのCPUって、毎年どんどんクロック数が増えていったイメージがありますね。
うん、あの頃は毎年でもパソコン買い換えたかったくらいだ。新しいパソコンにすれば速くなったって実感があった。
ちょっと昔のパソコンのスペックを調べてみたんですけど、Windows 95が発売された1995年当時は、CPUがIntel Pentiumでクロック数は100MHz(メガヘルツ)前後くらい。今の1/30のクロック数しかありませんね。
そしてWindows XPが発売された2001年秋のパソコンでは、Intel Pentium 4でクロック数は1.5GHz(ギガヘルツ=1,000メガヘルツ)と、たった6年でクロック数が15倍にもなってますね。
当時はまさに日進月歩って感じの、すさまじい勢いだったんだな。
どうして当時のCPUがどんどんクロック数を上げられたのか? なんですが、CPUが行う計算には、主に整数を計算する場合と、小数点数を計算する場合があります。
整数っていうのは、123とか、-4567とか、0ですね。数値としては単純なんで、計算スピードが上げやすいんです。もちろんこれだけでCPUの性能が決まるわけじゃありませんけど、インテルはPentium時代まで、主に整数部分を素早く計算させるためにクロックアップを続けてきました。
ワープロや表計算ソフトは整数の演算性能が重視されますから、当時のパソコンの使い方を考えたら、ニーズにあった性能向上だったわけですね。
当時はパソコンのソフトって言ったらワープロと表計算だったしな。求人でもワープロ・表計算が使える人って条件が増えた頃で、パソコン教室が大盛況していたもんだ。
ところがクロック数を上げ続けるうちに問題も出てきたんです。
以前にもCPUを検証せよ!「IntelとAMD 其の二」で取り上げましたけど、インテルのCPUは、ひたすらクロックアップで高性能化してきました。でもその代償として消費電力が大きくなり過ぎたり、処理効率の低下、加熱するCPUを冷やす冷却ファンの騒音などの問題が出てきました。
当時のPentiumプロセッサはコア(計算を実行する部分)が1つしかないシングルコアでしたから、大量の仕事を一人でこなしていたようなもんですね。
24時間働くために、50mlで300円もするビタミン・ドリンクが売れていた時代だしな。
ところがもう、1つのコアで高性能化するにも限界がきました。
そこで、1つでダメなら2つにしようと、デュアルコア・プロセッサ時代へ移っていきます。
コアを増やせば、1コアあたりのクロック数を抑えても高性能化できる、
というのが現在に至るマルチコア・プロセッサの考え方です。
CPUの仕事をベルトコンベアの流れ作業に例えると、シングルコア時代は1つしかないラインで作業をしていました。そしてスタッフが熟練するたびにラインのスピードを上げていきました。次の年はもっとラインのスピードを上げる。次の年ももっと・・・。そして限界!という状況になったわけです。
工場なら忙しくなれば、ラインや人手を増やすとかで対応できるけどな。
今の工場が手狭なら、もっとたくさんラインを増やせる工場に移転したいですよね。
ところが工場の移転もすぐというわけにはいきません。で、急場凌ぎですけど、メインラインのすぐ横にサブラインを作ります。メインラインの作業中ちょっと手が空くときに、サブラインの作業をするわけです。
わかった! それがPentium 4に搭載された「インテル ハイパー・スレッディング・テクノロジー」だろ。CPUが命令を処理しているあいだにできる待ち時間に、別の命令を割り込ませて処理させる方法だ。
そうなんです。そもそもハイパー・スレッディングはデュアルコアCPUまでのつなぎ機能だったんですけど、1コアあたりの処理効率が20%ほど良くなるので、Core iプロセッサで復活した機能ですね。
Pentium 4のあとが、いよいよデュアルコアCPUのPentium Dだったよな。
マルチコア・プロセッサ時代のはじまり
Pentium Dは一応デュアルコア・プロセッサですけど、中身は単純にPentium 4のコアを2つ並べた急場凌ぎのデュアルコアCPUだったんです。
Pentium Dと同時期にAMD(Advanced Micro Devices) が発売したAthlon 64 X2は、元々の設計段階からデュアルコアを想定したもので、完成度としてはAMDのほうが高かったんですね。
インテルの本格的なデュアルコア・プロセッサはCore 2 Duoからだけど、その前にPentium MっていうCPUもあったよな?
Pentium MはノートPC用のCPUでしたね。
それまでのインテル製プロセッサとは違って、クロック数の多さよりも処理効率を追求するように設計されたんです。だからPentium 4と比べたら、半分のクロック数で同じくらいの性能とか言われてましたね。
このあたりでシングルコアが主役だった時代が終わったわけだ。マルチコア・プロセッサなら、1コアあたりのクロック数が低くてもトータルで性能が出せる。クロック数が低いから電力消費量や発熱量も少ないというメリットもあるよな。
なんかこれも工場の作業に例えたらさ、今まで正社員でしてきた仕事を派遣社員にして人数増やしたみたいなもんだな。
しかも一見すると人数(コア)を増やせば人件費(消費電力)が上がるように思えるけど、派遣社員なら安く済ませられるみたいなもんですよね。
昔は社員が1ライン(シングルコア)でやってた作業を、派遣社員にして4ライン(クアッドコア)まで増やしたみたいな。
なんか今回はCPUから社会問題にまでリンクした深い内容だな。もしかして今年は俺たち、社会派路線でいくのか? CPUから世相を斬る!みたいな・・・
それはないでしょうけど、今回はいったんこのへんで閉めますか。次回はそろそろ第2世代Core iプロセッサの特徴について斬り込んでいきましょうね。
おお、うまく話題つないでいくじゃねえかw
次回は、CPUを検証せよ!「第2世代 Core i プロセッサ」 其の三 に続きます。