動画編集はパソコンに高いスペックが必要な作業なので、ふだんは不満のないノートパソコンでも動画編集にはちょっと厳しいかもしれません。ならば、もっと高性能なパソコンに買い替えよう! と思ってもスペックの見方がわからないという声も聞かれます。
そこで前半は動画編集をするノートパソコンに必要なスペックの見方3点を説明し、後半では動画編集におすすめのノートパソコンを厳選して紹介します。
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動画編集に必要なスペックはこの3点をチェック!
パソコンのスペックを決める要因には、処理を実行するプロセッサー(CPU)、描画を受け持つグラフィックス機能(GPU)、作業スペースとなるメモリ、OSやアプリケーション、データなどを保存しておくストレージ(記憶装置)の4つがあります。その中で動画編集に必要なメモリには16GB以上あれば十分と覚えておけばいいので、残り3つの要素について見ていきましょう。
「コア」が多いプロセッサーほど編集作業がスピーディー
パソコンの全体的な処理性能を決めるのが「プロセッサー」とか「CPU」と呼ばれるパーツです。
プロセッサーは左の画像にあるような四角いパッケージのパーツで、この中に情報を処理する回路が組み込まれています。
今どきのプロセッサーは1つのパッケージの中に複数の「コア」という処理回路が収められていて、コアの数によって「2コア・プロセッサー」とか「4コア・プロセッサー」などと言われます。
基本的に、動画の編集にはコアが多いほど適しています。
動画のデータ量は、色や音などたくさんの情報が含まれているので膨大な大きさになります。そういう大きなデータは小さく細切れにして、片っ端から処理をしていくほうが早く済みます。だから2コアより4コア、4コアより6コアや8コアほど動画編集向きのプロセッサーです。
最低でもコアの数は4つ以上のパソコンを選ぶほうがいいでしょう。
表示機能はNVIDIA製品が無難?
動画の映像をパソコンの画面に描き出すのがグラフィックス機能です。グラフィックス機能は大きく分けると、プロセッサーに内蔵されているタイプと独立したタイプがあります。
動画を観るだけの日常的な使い方にはプロセッサー内蔵タイプで十分ですが、ビデオ編集に使うなら、より高い描画性能をもつ独立タイプのグラフィックス機能が必要となります。
独立タイプのグラフィックス機能は、NVIDIA(エヌビディア)社とAMD(エーエムディー)社でほとんどのシェアを占めていますが、どちらかというと動画編集にはNVIDIA社のグラフィックス機能を選ぶほうが無難です。
なぜかというと、多くの動画編集ソフトが動作確認をNVIDIA製品でしか行っていなかったり、NVIDIA製品に最適化されていることが多いからです。そのためNVIDIA製品を使うほうが安定した動作が得られますし、同じ処理を行ってもAMD社よりもNVIDIA製品のほうが処理が速いということもあります。
NVIDIA製品にも個人向けでゲーム用に適した「GeForce」(ジーフォース)シリーズと、動画や画像の制作業務に使われている「Quadro」(クアドロ)シリーズがあります。
できれば「Quadro」シリーズがベターですが、業務用だけに価格もかなり高くなるので、コストパフォーマンスを考えると「GeForce」シリーズのグラフィックス機能でも十分です。
意外と盲点! 動画編集ソフトの「GPU支援」対応
動画編集ソフトにはGPU支援という機能を備えたものがあります。GPU支援機能とはグラフィックス機能(GPU)とプロセッサーを併用することで、より高速な処理を行うものです。動画編集でエフェクトをかけたときなどの処理待ち時間を大幅に短縮できるので、作業ストレスも大きく減らしてくれるでしょう。
ただし、すべての動画編集ソフトがGPU支援に対応しているわけではありません。
例えば「Adobe Premiere Pro」は「GeForce」や「Quadro」のGPU支援に対応していますが、廉価版というか個人向けの「Adobe Premiere Elements」はインテル・プロセッサーに内蔵されたグラフィックス機能にしか対応していないので、それほど大きな高速化は期待できません。
動画編集ソフトを購入するときは「GeForce」や「Quadro」など独立タイプのGPU支援に対応しているかどうか、メーカーのWebサイトなどで確認してから購入するようにしてください。
記憶装置はSSDがベストだけれど
プロセッサーやグラフィックス機能がいくら高性能でも、その他のパーツが足を引っ張っては意味がありません。動画編集に最適なスペックの見方の3つ目は、プログラムやデータを保存する記憶装置(ストレージ)についてです。
これまでのパソコンでは、OSやアプリケーション、そしてデータを保存する記憶装置(ストレージ)には長いあいだHDD(ハードディスクドライブ)が使われてきました。しかしHDDはデータを読みだしたり、処理が終わったデータを書き込むスピードがプロセッサーやメモリよりも遅いため、パソコン全体の性能を落としてしまう存在になってしまいました。
そこで最近はHDDよりも高速なSSD(ソリッドステートドライブ)が普及してきました。SSDはディスクではなくメモリを記憶領域に使っているのでデータの読み書きが速く、また機械部品がないため衝撃にも強いので、ノートパソコン用の記憶装置として理想的です。
最近では高速なSSDと大容量なHDDの両方を搭載するノートパソコンも増えているので、動画編集に使うなら、こういう部分もチェックしてください。
また最近ではSSDよりもさらに読み書きスピードが速い「M.2 SSD」(エムドットツー エスエスディー)を内蔵するノートパソコンが増えています。
ただし、M.2 SSDは基盤との接続にHDDやSSDと同じSATA3方式を使うものと、より高速なPCI Expressに接続するNVMe方式を使うものがあります。
SATA3方式だと読み書きスピードはふつうのSSDと同じになるので、M.2 SSDの性能をフルに活かすことはできません。
できればNVMe方式のM.2 SSDがお勧めですが、そこまでシビアにハイスペックを追求しないのであれば、ふつうのSSDでも十分に速いので予算に応じて選択してください。
記憶装置の種類については意外と重視しない人も多いのですが、動画編集に使うくらいのノートパソコンであれば、最低でも通常のSSDを搭載した機種を選ぶようにしてください。
ビデオ編集におすすめのノートパソコン(2019年春)
ここからは実際にどんなノートパソコンが動画編集に向いているのか、具体的な製品を松・竹・梅の3グレードに分けて紹介していきます。ライトな編集から本格的な編集に耐えるものまでしっかり吟味した3モデルですので、用途や予算に応じてチェックしてください。
【松コース】New Dell G5 15 スペシャルエディション
Dell G5 15 スペシャルエディションは本来ゲーム用のノートパソコンですが、ポテンシャルは動画編集にも十分使えるものとなっています。というより、ゲームに使える=動画編集にも使えるので、予算を抑えたいなら10万円台半ばで買えるこの製品はかなり狙い目です。
Dell G5 15 スペシャルエディションは同シリーズの中でいくつかのグレードが用意されていますが、一番下のグレードでもかなりお買い得な内容ですので、たまに動画編集もしたいというライトユーザーにはピッタリでしょう。
Dellの特徴として年がら年中キャンペーンと称した割引や特典サービスが行われているので、詳細については必ず下記リンクからメーカーサイトでご確認ください。
ディスプレイ | 15.6-インチ FHD (1920 x 1080) 非光沢 IPS ディスプレイ |
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OS | Windows 10 Home 64ビット |
プロセッサー | 第8世代インテル® Core™ i5 8300H プロセッサー (4 コア, 8MB キャッシュ, 最大 4.0GHz まで可能 ターボ ブースト 付き) |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce® GTX 1050 Ti 4GB GDDR5 |
メモリ | 8GB DDR4, 2666MHz |
ストレージ | 128GB M.2 PCIe NVMe SSD 1TB 5400 rpm 2.5インチ SATA ハード ドライブ |
価格 | 141,980円~(税別、送料込み) |
【竹コース】HP Spectre x360 15
動画編集だけでなく、ふだんの使い勝手にもこだわりたいならHP Spectre x360 15が有力候補になりそうです。
HP Spectre x360 15は高精細な4Kディスプレイや6コア・プロセッサなど編集作業に適したスペックだけでなく、用途に合わせて4通りに変化させられるフレキシブルさと質感の非常に高いデザインが魅力です。
また、ノートパソコンで疎かにされがちなサウンド面では4つのスピーカーが内蔵されていたり、長時間の編集作業でも熱ダレしないために2つのファンとラジエーターによる効率のいい放熱対策が施されています。
これだけのハイスペックな構成でほぼ20万円ほどの価格に収まっているコストパフォーマンスの良さは、さすが世界No.1のシェアを誇るHP製品ならではです。
ディスプレイ | 15.6インチワイド・UHD(4K)ブライトビュー IPSタッチディスプレイ |
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OS | Windows 10 (64bit) |
プロセッサー | インテル® Core™ i7-8750H プロセッサー (6コア・12スレッド、2.20GHz~4.10GHz、9MBキャッシュ) |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce® GTX 1050Ti with MAX-Q Design グラフィックス |
メモリ | 16GB (2666MHz,DDR4 SDRAM) |
ストレージ | 512GB SSD (PCIe NVMe) / 1TB SSD (PCIe NVMe M.2) |
価格 | 229,800円~ (税抜き) |
【梅コース】マウスコンピューター DAIV-NG7510シリーズ
マウスコンピューターの「DAIV」シリーズは画像や映像の制作・編集作業に特化したブランドとして誕生。ノートパソコンでもスペックに妥協のない高いポテンシャルとコストパフォーマンスの良さで、クリエイターたちに安定した人気を保っています。
プロセッサー、メモリ、グラフィックスなどの主要な機能にはデスクトップパソコンの上級モデルと同じものが採用されており、ノートパソコンだからと妥協のないスペックが奢られています。
とくにAdobeRGB比100%の4K対応ディスプレイは正確で豊かな色表現が可能。充実した外部出力を使った4画面での4K表示もできるので、広大な作業空間で快適な編集作業に専念することができます。
編集用のノートパソコンとして相当高いレベルでまとまっていながら20万円台というコストパフォーマンスの良さは、間違いなく「梅」レベルの超おすすめシリーズです。
ディスプレイ | 17.3型 4K-UHDノングレア(AdobeRGB比100%、3,840×2,160) |
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OS | Windows 10 Home 64ビット |
プロセッサー | インテル® Core™ i7-8750H プロセッサー (6コア・12スレッド、2.20GHz~4.10GHz、9MBキャッシュ) |
グラフィックス | GeForce® GTX 1070 (8GB) |
メモリ | 8GB PC4-19200 |
ストレージ | 240GB SSD |
価格 | 229,800円 (税別)~ |