ルーターはインターネットの道先案内人
インターネット上に送られたデータは目的地に辿りつくまで、あちこにある中継点を経由していきます。その中継点をルーターといいます。
ルーターはインターネット上のあちこちにあり、たくさんの道順を知っています。自分が知らない道順も、すぐ近くにあるルーター同士がいつも連絡をとって、新しい道順を教えあっています。
例えばあなたが「知っ得!パソコン塾」のページを見ようとすると、そのリクエストはあなたから一番近いルーターに送られます。自宅のルーターだったりプロバイダのルーターです。
ルーターは「中高年の知っ得!パソコン塾」までなら、次はどのルーターにリクエストを渡せばいいかを調べて、リクエストを渡します。渡された次のルーターも同じように、一番近道になりそうなルーターを調べてリクエストを渡します。
ルーターはインターネットにある案内人ような存在です。「○○へ行くには、どの道ですか?」と訊けば、「この道をまっすぐ行って、2本目を左に行ったら、また案内人がいるので、そこでまた訊いてみてください」という具合に、途中までの道順を教えてくれながら、
最後まで迷わずに進むことができます。
インターネットはクモの巣のようなネットワークですから、もしもどこかのネットワークが混んでいたり、通ることができなかったりすると、迂回路を探して通ります。
私たちが車で走っているときに、この道は込んでいるから、あっちの道を通っていこうと迂回するのと同じです。普段は最短距離を走っていても、何かあったときは、ちゃんと別の道を探します。そのときもルーターが親切に迂回路を教えてくれます。
ブロードバンド ルーター
ここからは、主に家庭で使用される「ブロードバンド ルーター」についてお話します。
防火壁(ファイヤーウォール)
ルーターには、必要のない通信を遮断するという機能があります。
モデムにパソコンを直結した状態だと、パソコンは外部から丸見えになっています。
インターネットをさまよっているウィルスが入ってきたり、誰かにパソコンの中をのぞかれることもあります。
モデムとパソコンのあいだにルーターをはさむことで、ルーターが防火壁(ファイヤーウォール)となって、不正な進入を防いでくれます。
インターネットを利用するなら、ルーターは必需品だと思ってください。
ケーブルでパソコンとつなぐタイプなら5千円前後で購入できますから、比較的簡単にセキュリティ対策をすることができます。
グローバル IPアドレスとプライベート アドレス
ブロードバンド ルーターに接続するパソコンには、
プライベートアドレスという番号を割り当てます。
前のページ「TCP/IPとIPアドレス」では、プロバイダからIPアドレスを与えられると書きました。このIPアドレスは、
世界中に1つしかないインターネット上の番号です。世界中で使えるのでグローバル
IPアドレスと言います。
グローバル IPアドレスに対してプライベート アドレスというのは、LANの中、
つまりインターネットとは別の閉鎖的なネットワークの中で使うことができます。電話に例えると、グローバル IPアドレスは代表番号で、
プライベート アドレスは内線番号になります。
グローバル IPアドレスはプロバイダから決められた番号が与えられますが、
プライベートアドレスは自分で自由につけることができます。いくつかのグループに分けられたプライベート アドレスが用意されていますが、
一般的に使われているのは「192.168.0.0~192.168.255.255」までの範囲です。
このうちリピオドで区切った最後の部分が、パソコンに割り当てることができる番号です。例えばリビングルームのパソコンに
「192.168.0.2」を割り当て、2階のパソコンには「192.168.0.3」を割り当てます。「192.168.0.1」
はルーター自信に割り当てられることが多いです。
「192.168.0.0」はネットワークそのものを表す番号なのでパソコンやルーターには使いません。また
「192.168.0.255」は、ネットワーク上にあるすべての端末に対して、一斉にデータを配信するという目的に使われるので、
これもパソコンやルーターに割り当てることはできません。
プライベート アドレスは、自分で1台ごとに設定することもできますが、ルーターにはDHCPサーバー機能がありますから、
接続されているパソコンに対して順にプライベート アドレスを割り当ててもくれます。
IPマスカレード
ブロードバンド ルーターを使用すると、IPマスカレードという機能を使って、
家庭にあるすべてのパソコンから同時にインターネットへ接続することができるようになります。
これは、家庭の中にあるパソコンがインターネットに接続するとき、ルーターがそのパソコンのプライベート アドレスと、
ポート番号を記憶して、インターネットにはルータに割り当てられているグローバル
IPアドレスとポート番号に置き換えてリクエストを送ります。ルーターはデータが届くと、
リクエストを送ったパソコンにそのデータを渡します。
プロバイダから割り当てられているグローバル IPアドレスはルーターに割り当てられているので、
ルーターはグローバルとプライベートの両方を持っています。
ポートというのはパソコンがデータを送ったり受け取ったりするときに使う窓口です。メールを送信するときは25番ポートを、
受信するときなら110番ポートが使われます。
こうして通信ごとにグローバルとプライベート アドレスを変換するので、
一度に複数のパソコンからインターネットを使うことができるようになります。