家庭にいながら収入を得られるとして「在宅ワーク」への関心が高いようです。実際に仕事をして収入を得ている方もいるので、在宅ワークのすべてを怪しいというつもりはありません。しかし、悪徳業者による被害が増大しているのも事実です。
「一日数十分で高収入!」などと掲示板に書き込んでいるような業者なら、常識で胡散(うさん)臭いと判断できます。こういった書き込みも多くは仕事として請け負っている在宅ワーカーだったりします。
悪徳業者かどうかを見極めるのはどんどん難しくなっています。在宅ワークを募集している企業のサイトを見ると、明るいイメージできれいなデザインのホームページを公開しているところもあります。
登録スタッフのコメントと称して、いかにこの企業が安心できるかというアピールや、実際に仕事を請け負って、毎月いくらの収入になったという例が掲載されていたりもします。
仮にその人が本当に仕事を請けて稼いでいたとしても、登録者全員がそうだとは限りませんし、その登録スタッフが実在しているという証拠もありません。
雑誌で紹介されている企業でも安心はできません。主婦向けのパソコン雑誌ではよく在宅ワークの特集が組まれます。家事や育児の合間に自宅でできる仕事ということで、読者の関心も高いようです。
在宅ワークの特集が組まれると必ず在宅ワークを斡旋する業者の広告が掲載されます。しかし、その会社がきちんとした会社という保障はありません。実際の体験談としてその会社で仕事をしている人のインタービューなどが掲載されている場合でも、事実かどうかはわかりません。
人は活字になっている情報は信じやすい性質を持っています。出版社も営利企業なので、紹介記事を掲載することで広告収入を得ています。間違ってもスポンサーのことを怪しいからやめとけとは書きません。
仮にまっとうな在宅ワークをするとして、どれくらいの収入になるでしょう?
文字入力は得意だからと、データ入力の仕事をしたとします。でも原稿に書いてあることを、
ただ入力すればいいというわけじゃありません。
入力作業には仕様書という、入力する際の決め事が書かれたマニュアルがあるはずです。原稿を正確に読み、仕様どおりに入力して、一字一句校正をしたうえで納品となります。
もし仕様と異なる入力方法をしてしまった場合は減額されるか、最悪は報酬の支払いもありません。例えば個人名を入力するときに「斉藤」さんか「斎藤」さんでは違います。
パート仕事と違って在宅ワークは請負です。請負とは発注側の要求どおりに仕事を仕上げて、初めて成果と認められます。パートなら多少のミスは多めに見られることもありますが、請負では認められません。大げさに言えば、自分の事業として仕事を引き受けたからです。
怪しげな在宅ワークを始めるよりも、日々の節約術を磨いたほうがはるかに効率はいいかもしれません。