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【今さら聞けない】量子コンピュータって何?「未来の計算機」が何を変えてくれるの?

AI
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最近、ちょくちょく「量子コンピュータ」という言葉を見聞きすることが増えていませんか?

「スーパーコンピュータみたいなもの?」
「量子力学とかいう難しそうなアレを使ったやつでしょ?」

ま、だいたいそんな認識の方が多いんじゃないでしょうか。そこで、今回は量子コンピュータについて、これくらい知っとけばOK! 的な入門記事をお届けします。

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既存の物理法則が通用しない? 摩訶不思議な量子の世界

まず、私たちが使っているスマートフォンやパソコンは、「0」と「1」だけを使って計算をしています。動画もゲームも、AIも、この単純な0と1の組み合わせで実現されています。これはこれで、ある意味すごいことですね。

ところが量子コンピュータは、今までのコンピュータとは考え方そのものが違います。既存のコンピュータの進化版ではなく、「計算のやり方」が根本から変わる存在なのです。

普通のコンピュータは「0か1か」しか扱えない

今のコンピュータは「ビット」という単位で情報を処理しています。ビットは0か1のどちらかで、電気が流れている=1、流れていない=0。たとえば、電気のスイッチがオンかオフか、コインが表か裏か、そういう世界です。どちらか一方の値しか取れません。

この方式は非常にシンプルかつ安定していて正確です。でも、「同時にたくさんの可能性を試す」ことは苦手です。選択肢が増えるほど、1つずつ順番に計算するしかなくなり、時間がどんどんかかります。

量子コンピュータは「0でもあり、1でもある」

既存のコンピュータが使う0か1かの「ビット」に対して、量子コンピュータは「量子ビット(キュービット)」という特別なビットを使います。

この量子ビットは不思議な性質を持っており、0でもあり1でもあるという、どちらかに決まっていない状態を取れるのです。たとえるなら、投げたコインが空中でクルクル回っているとき。このときは、まだ表か裏か決まっていませんよね。量子ビットはまさにその状態を「計算の途中」で使えるのです。

左:0か1のどちらかに決まる、既存のコンピュータ。右:0でもあり1でもある量子コンピュータ。

しかも、複数の量子ビットが「量子もつれ」と呼ばれる状態になると、どれだけ離れていても互いの状態が強く結びつきます。片方が決まると、もう片方も同時に決まる、という不思議な連動が起こります。

なんという、ロマンチックな遠距離恋愛でしょうか。いや、もしかすると、別れたくても別れられない泥沼な関係かもしれません。

とにかく、この量子もつれにより、量子コンピュータは「たくさんの可能性を同時に計算する」ことができます。

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何がすごいの? どんなことができるの?

量子コンピュータが注目されている理由は、普通のコンピュータでは何年もかかるような計算を、はるかに短い時間で解ける可能性があるからです。

たとえば、こんな分野です。

新薬や新素材の開発
分子の世界はとても複雑で、原子レベルの動きを正確に計算するのは今のコンピュータでは限界があります。量子コンピュータなら、分子のふるまいを自然にシミュレーションできるため、「よく効く薬」や「軽くて強い素材」を見つけやすくなると期待されています。

最適なルートや計画を探す
物流、交通、工場のスケジュールなど、「どの順番が一番ムダがないか?」という問題は、選択肢が増えると爆発的に難しくなります。量子コンピュータは、こうした組み合わせの中から最適解を見つけるのが得意です。

暗号とセキュリティ
今のインターネットの安全は「とても大きな数の分解が難しい」ことに支えられています。しかし、量子コンピュータは、その壁を越えてしまう可能性があります。そのため、量子時代に対応した新しい暗号の研究も進んでいます。

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ただし、まだ「研究中の技術」

「じゃあ、いつごろウチにも量子コンピュータが来るの?」と期待ワクワクでしょうが、現実はまだそこまで進んでいません。

量子ビットはとても繊細で、少しの熱や振動、電波でも壊れてしまいます。そのため、量子コンピュータは「希釈冷凍機」で、ほぼ絶対零度に近い超低温で管理されおり、巨大で複雑な装置になっています。

希釈冷凍機

また、計算中にエラーが起きやすく、正確に動かすには「量子誤り訂正」という難しい技術も必要です。今はまだ、実験室レベルの段階にあります。

つまり、量子コンピュータは「未来を変える可能性を持った技術」ではありますが、完成品ではなく、今まさに育てている途中の存在なのです。

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量子コンピュータを開発している企業・組織 ― 世界と日本の最前線

とは言え、量子コンピュータは世界中で「競争と協力」の両方が進んでいる分野です。多くの企業や研究機関が、この未来の計算機を現実のものにしようと開発競争を繰り広げています。

まず日本では、富士通を中心とした動きが特に注目されています。

富士通は理化学研究所(理研)と共同で、超伝導方式の量子コンピュータを開発しています。2025年には世界でも大規模な256量子ビット級の量子コンピュータを発表し、企業や研究機関向けに提供を始めています。これは国産としても非常に重要な成果です。

さらに2030年頃までに1万量子ビット級といったさらに大きなシステムを実用化する研究にも着手しています。これらは単に装置を大きくするだけでなく、実際の計算に耐えうる能力を持つ量子コンピュータを目指した取り組みです。

また、日本では富士通だけでなく、国立研究開発法人や大学、他の企業も連携して研究を進めています。たとえば理研が初期のプロトタイプを構築し、その後量子コンピュータをクラウドサービスとして使えるようにしている取り組みもあります。これによってより多くの企業・研究者が量子技術に触れられるようになっています。

一方、世界でも多くの大手企業が量子コンピュータの開発に力を入れています。代表的な例を紹介しましょう。

  • IBM(アメリカ)

    量子コンピュータの開発で最も歴史があり、クラウド経由で量子マシンを一般公開している企業です。数百量子ビットのプロセッサーを持つものから、さらに大規模化する計画も進んでいます。世界の研究者コミュニティが活用するプラットフォームとしても存在感があります。

  • Google(アメリカ)

    量子コンピュータの研究を早くから進めている企業の一つで、将来的な実用性への大きな投資が行われています。

  • Microsoft(アメリカ)

    独自の量子技術やクラウドサービスとの連携を進めています。物理的な量子ビットのアーキテクチャにも工夫を凝らしており、他社とは異なるアプローチを取り入れています。

  • Amazon Web Services(AWS)(アメリカ)

    「Ocelot」と呼ばれる量子チップの開発など、量子コンピュータ分野への新たな参入を進めています。これにより大手クラウド事業者としての存在感を高めています。

  • Quantinuum(元Honeywell Quantum Solutions)(アメリカ/イギリス)

    量子ハードウェアとソフトウェアの両方を手がける企業で、トラップイオン方式の量子コンピュータを開発しています。

  • PsiQuantum(アメリカ)

    フォトニック(光)ベースの量子コンピュータを目指している企業です。独自のアプローチで大規模化を狙っています。

  • QuEra Computing(アメリカ)

    中性原子を使う方式の量子コンピュータを研究・開発しているスタートアップです。外部からの資金調達も進んでおり、活発な技術開発が行われています。

  • IQM Quantum Computers(フィンランド)

    ヨーロッパを代表する量子コンピュータ企業のひとつで、こちらも超伝導技術を基にシステム構築を進めています。

このように、量子コンピュータは一つの会社だけで開発されているわけではなく、複数の企業がそれぞれの技術やアプローチで挑戦しているのが今の状況です。

また、大企業だけでなく、スタートアップ企業や大学発ベンチャーも重要な役割を果たしています。市場としてはまさに「国際的な競争と協力のステージ」にあると言えるでしょう。

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量子コンピュータは何を変えるのか

ちょっとガッカリするようなことを言いますが、量子コンピュータはパソコンやスマートフォンの代わりになるものではありません。得意分野がまったく違います。

・ふだんの仕事 → 今のコンピュータ
・とてつもなく難しい計算 → 量子コンピュータ

こうした役割分担で使われる未来が想定されています。

薬、材料、エネルギー、AI、金融、気候予測……。社会の根っこに関わる分野で、これまで人間の知恵だけでは超えられなかった壁を、量子コンピュータは少しずつ壊していくかもしれません。

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まとめ

量子コンピュータは、まだ私たちの日常に直接関係する存在ではありません。でも、スマートフォンが昔はSFだったように、今は研究室にあるだけの量子コンピュータも、いずれ社会のインフラになる可能性があります。

熱や振動に弱いため、スマートフォンやPCが量子コンピュータになるとは考えにくいですが、量子コンピュータをクラウドサービスのように利用することなら、けっこう近い未来に実現するんじゃないでしょうか?

そのとき、私たちは量子コンピュータを、どんなふうに活用できるのか? 想像してみると楽しくなりそうですね。