インテル ターボ・ブースト機能とは?

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IntelのCoreプロセッサーに採用されている「ターボ・ブースト」は、処理状況に応じてCPU(プロセッサー)の動作周波数(クロック)を上昇させる機能です。CPUに余裕がある状態のとき、必要な時間だけ一時的に処理性能が上がります。

CPUの設定倍率を変えてクロック数を増幅する手法はオーバークロックと呼ばれ、一部のユーザーの間ではよく知られて行われてきました。但しオーバークロックはメーカーの設定値を勝手に変更してしまうため、もし不具合が起こっても自己責任(保証対象外)となります。また設定したクロック数は再度設定を変更するまでそのまま固定されるので、常にそのクロック数で動くことになります。

インテルCoreプロセッサーで採用されたターボ・ブースト機能は、ユーザー自身が設定を変更しなくても、その時々の状況に応じて自動的にCPUのクロック数を上げたり元に戻したりしてくれます。

どれくらいクロック数がアップするかというのは各CPUごとに仕様が決められていて、例えば「Intel Core i7 870」の場合は定格のクロック数が2.93GHzですが、ここから133MHz(メガヘルツ)を最小単位として最大で5段階、133MHz×5=665MHz上がり、ブーストされたコア(処理の中核部分)のクロック数は、定格の2.93GHz+665MHz=3.6GHzまでアップします。※CPUの種類によって異なります。

但し最大の5段階までアップするのは、コアが1つだけ動いている状態です。動いているコアが2つに増えると4段階目まで、3つ以上のコアが動いているときは2段階目までという具合に、CPUの状況に応じて余裕の範囲内でブーストされます。

最近のCPUはデュアルコア(2コア)からクアッドコア(4コア)、さらにオクタコア(8コア)へとマルチコア化が進んでいますが、処理内容によっては1つか2つの少ないコアを高速に動かすほうが速く終わることもあります。ターボ・ブースト機能は、こうした少ないコアで処理するほうが速い場合に効果があります。

※CPUのクロック数を自動的にブーストアップさせる技術は、AMD社も「Turbo CORE Technology」(ターボ コア テクノロジー)と称して一部のプロセッサーで採用しています。

グラフィックスもブーストできるようになった「ダイナミック・フリークエンシー」

最近のパソコンはインターネット動画、DVD、ブルーレイなど、高画質な動画の再生やビデオ編集をすることも多くなりました。となると、より強力な表示・描画性能を持ったグラフィックス機能が必要になってきます。

昔のパソコンはテキストや簡単な画像を映すくらいの表示性能しかなかったので、高画質な画像や映像を扱うには、より高い表示性能を持つビデオカード(グラフィックボード)を装着する必要がありました。

しかしパソコンで高画質な画像や映像を扱うことが多くなったため、プロセッサーよりもグラフィックス機能の性能向上が求められるようになりました。むしろ最近のプロセッサーはCPUの処理性能よりもグラフィックス性能を重視する傾向が強くなっています。

そうした、より高いグラフィックス性能へのニーズを受けて、インテル 第2世代Coreプロセッサーでは、CPUに内蔵されたグラフィックス機能に「ダイナミック・フリークエンシー」という、ターボ・ブーストと同じような機能が与えられました。

例えばインテル Core i7-2670QM プロセッサーの内蔵グラフィックス機能は、ベースクロックの650MHzから最大1.1GHz(1100MHz)までブーストアップ可能になっています。

ダイナミック・フリークエンシーもユーザーが手動で設定する必要はなく、画像や動画の編集のような高いグラフィックス性能が必要なソフトウェアを起動すると、自動的にグラフィックスのクロック数がブーストされます。