CPUを検証せよ!「第2世代 Core i プロセッサ」 其の四

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4回に渡ってムダに?長引いた「CPUを検証せよ!第2世代 Core i プロセッサ」編も、ようやく終了。
今回は第2世代Core i プロセッサーの大きな特徴のひとつである、Intel AVXとはなにか?についてです。

Intel AVX (Advanced Vector Extensions)とは?

前々回の其の二では シングルコア時代のIntel Pentiumプロセッサーが、どんなふうに進化して、どんな問題を抱えてしまったのか? を振り返りましたよね。覚えてますか?

え~と、Pentium時代は高クロック化で、整数の演算処理を高速化した。でも消費電力や発熱の増加が問題になったから、クロック数を上げなくても性能が出せるマルチコア時代になった、って話だったよな?

はい、そうです。でもPentium時代から整数だけじゃなくて、ちゃんと小数点数の演算も高速化してきてるんです。

小数点数の演算を高速化する方法として、インテルのSSE(Streaming SIMD Extensions)っていう拡張命令があります。どんなふうに高速化するかって言うと、次のような演算処理があるとします。
A1 = 1.234 x 2.345;
B1 = 3.456 x 4.567;
C1 = 5.678 x 6.789;

なんか、プログラムの入門編に出てきそうな例だな。
右辺の式を計算した結果を、左辺のA1やB1,C1という変数に代入するっていう、同じような計算が3つあるんだろ?

そうです。これはあくまで例えですけど、SSEは同じように計算できる小数点数は、一度にまとめて計算することで処理を速くしているんです。ちなみに、こういう複数の命令を一度にまとめて処理する演算方法を「SIMD」(Single Instruction / Multiple Data)っていいます。

其の二のページで 、整数演算が速くなるとワープロや表計算ソフトの動作が速くなるって言ったよな。じゃあ小数点数の演算が速いと、どんなソフトが速くなるんだよ?

主に動画・静止画・音声などを扱うソフトによく効きます。

よく効きますって、薬かよ!
じゃあ、なんで小数点数の演算が速いと、グラフィック系のソフトが速くなるんだ?

例えば、晴れ渡った秋空と鮮やかな紅葉を撮ったビデオがあるとします。でもビデオには晴れ渡った秋空も鮮やかな紅葉も、0か1の数値でしか保存できません。しかも微妙な色の違いを数値で表現するには、大きな桁数の小数点数が必要になります。

大きな桁数の小数点数データは計算するのがたいへんですけど、意外と一まとめに計算できるデータも多いんですよ。これまでのSSEは小数点数を一度に128bitまで、まとめて演算することができました。でも今度のIntel AVXは、まとめて演算できる小数点数が一度に256bitまでと、SSEより2倍も多くなったんです。

ちょっと寄り道! 「拡張命令」とは?

ところで、さっきから何気に出てくる「拡張命令」ってなんだよ?

CPUには命令をどうやって処理するかを定義した、基本的な「命令セット」っていうのがあります。この命令セットが同じなら、まったく設計の違うCPUでも同じように命令を処理することができるんですよ。

例えばWindowsが動くパソコンでも、インテル製のCPUを積んだPCや、AMD製のCPUを積んだPCとかがありますよね。でも設計思想も方法も違う両社のCPUが同じようにWindowsを動かせるのは、どっちも「x86」っていうインテルの命令セットを使っているからなんです。
そして「拡張命令」ってのは、基本的な命令セットには含まれないオプション的な命令セットです。もっとわかりやすく言えば、特定の処理に特化した命令セットです。つまりSSEやIntel AVXは小数点数の処理に特化した拡張命令ってことなんですよ。

Intel AVXの動作条件?

ま、要するにだ。
第2世代Core iプロセッサは、Intel AVXで動画の編集とかがサクサクできるってことだな?

ただしIntel AVXは、Windows 7にService Pack 1が適用されていることが必要なんです。

Windows 7にService Pack 1を適用するには、Windows Updateを実行するのが一番早くて簡単です。もし複数のパソコンにService Pack 1を適用するならマイクロソフト ダウンロードセンターからisoファイルをダウンロードして、インストールディスクを作成する方法もあります。
インターネット回線が低速でダウンロードができない場合は、マイクロソフト オーダーセンターからディスクを申し込むこともできますよ。

Intel AVXの本領発揮は、まだこれから?

じゃあ、Windows 7にService Pack 1を適用すれば、今度こそ動画の処理がサクサクになるんだよな?

ところがですね・・・

またかよ・・・

Intel AVXで動画の処理がサクサクするには、ソフトウェアの対応が必要になんです。

なんだ。そういうオチかよ。

でもこれからのゲームやグラフィック系ソフトは、Intel AVX対応になってきますから、そうなればメリットは大きいですよ。

っていうか、もうこれからのソフトウェアは複数のCPUコアを効率よく利用できることや、Intel AVXのような拡張命令に最適化するように設計することが必要になるでしょうね。

消費電力と発熱量の軽減

第2世代Core iプロセッサのメリットでは地味な項目ですが、消費電力と発熱量も旧Core iプロセッサより減っています。

内蔵グラフィック(GPU)とCPUが統合されて効率が良くなったのが、大きく影響しているようです。

特にノートPCだと消費電力は、バッテリーの持続時間に関わるからな。第2世代Core iプロセッサって、実はノートPCのほうがメリット大きそうだよな。

そうなんです。GPUの性能が上がって、しかも省電力。そんなCPUが低価格なノートPCにも搭載されてるんですから、いい時代になりましたね。

だいたい今回の「CPUを検証せよ!」シリーズもまとまったんで、第1話目の冒頭でお願いしたパソコンの買い替えを検討して欲しいんですけど・・・

じゃあ検討するだけしてみるから、候補を挙げときな。ついでに俺のノートPCもな!

Dell XPS 8300

動画に強いデスクトップPCなら「デル XPS 8300」がイチオシ!CPUはもちろん第2世代のIntel Core i5またはCore i7。メインメモリも16GBまで指定できるなど自由度の高いカスタマイズも魅力です。本体だけなら8万円ほどから購入できる低価格も人気の理由になっています。

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LuvBook Tシリーズ
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マウスコンピューターのノートPC「LuvBook Tシリーズ」は、第2世代Core i3からCore i7 プロセッサーまでラインナップ。6万円からの低価格でも内蔵GPUの他にビデオカード「NVIDIA GeForce GT540M」を搭載。普段は内蔵GPU、デジカメやビデオ編集など高いグラフィック性能が必要になると自動的にビデオカードに切り替わってくれます。