クラウドコンピューティングとは

2009年06月22日 カテゴリー:インターネット活用

いつの間にかみんな知ってて当たり前のように使われている「クラウド・コンピューティング」という言葉。実はよくわからないまま「そ、そうだね。これからはやっぱりクラウドだよね」なんて話合わせてませんか?

ここでは今さら訊けない「クラウド・コンピューティング」の意味と、私たち個人のパソコンユーザーにとって、「クラウド・コンピューティング」にはどんなメリットやデメリットがあるのか?その可能性について考えてみたいと思います。

パソコンの内側からインターネットの向こう側へ

クラウド・コンピューティング(cloud computing)という言葉には、また何か画期的で新しいものが生まれたようなイメージがあります。でもその考え方や使われている技術は、むしろ今まで使われてきたものを集めてマッシュアップ(混ぜ合わせ)したものです。

用語の詳しい説明は他のWebサイトや書籍に譲りますが、インターネット上のどこかにあるシステムやサービスをクラウド(雲)に例えて、今までパソコンの中でしていたことをインターネットのサービスを利用して行うということです。

cloud_computing.png

例えばワープロで書類を作ったりデジカメの画像を修正しようとしたら、まずパソコンにソフトウェアをインストールするところから始まりますね。

「コンピュータ、ソフトなければ只の箱」というくらい、何かをするためにはまずソフトウェアを用意して、作業するのもデータの保存もすべてパソコンの中で完結したのがこれまでの使い方です。

これまでの使い方に対してクラウド・コンピューティングは、「ソフトウェアもデータを保存するスペースも全部インターネットで提供しますよ」というサービスです。

こうした処理を外部に任せるという方法はホスト・コンピュータが処理を行って、その結果だけが端末機に返されていたコンピュータの初期の頃と似ています。

やがてコンピュータの小型化と高性能化が進むと、現在のパソコンのように一台ですべての処理がこなせる時代に変わります。パソコンはどんどん高性能化し、インターネットも高速になりました。するとこういう素朴な疑問が生まれます。

「こんなに高性能なパソコンって必要あるの?」

CPUが高性能になってもハードディスクの容量が大きくなっても、私たちパソコンユーザーはほとんどインターネット中心の使い方が多いのではないでしょうか。それならこれ以上高性能なパソコンや時々しか使わないソフトウェアに高いお金を払うのって、もったいないんじゃない?というわけです。

クラウド・コンピューティングはインターネットとWebブラウザさえあれば今までと同じことができるというサービスですから、高性能なパソコンや高価なソフトウェアを用意する必要もなく、インターネットの向こう側に用意されたソフトウェアを使って作業したり保存することができます。

クラウドコンピューティングを体験できるサービスはすでにたくさんあります。Googleだけを例にとっても、電子メール・サービスの「Gmail」やワープロ・表計算・プレゼンテーションなどの「Google Docs」、デジカメ画像を編集するなら「Picasa」などがあります。そしてこれらはすべて簡単なユーザー登録をするだけで無料で使えます。

パソコンユーザーにとってのメリットは?

今までパソコンの中でしていたことがインターネットでできるようになると、私たちパソコンユーザーにはどんなメリットがあるでしょうか?まずはクラウドコンピューティングのいいところを見ていきましょう。

コストとメンテナンスが激減できる

インターネットさえ使えればそれほど高性能なパソコンじゃなくても済みますから、今までのように高性能=高価なパソコンを買う必要はなくなります。大きな負荷のかかる処理は雲の向こうでしてくれますし、高価なソフトウェアも購入する必要もなくなります。

ソフトウェアの購入代金を節約するだけならフリーソフトを使えば済みますが、新しいバージョンに変わったときは自分でダウンロードしてインストールしなければなりません。でもクラウド上のサービスを利用すれば、ソフトウェアのアップグレードなどの保守管理はサービスの提供者が行いますから、私たちパソコンユーザーは最低限OSの再インストールとアップデートだけで済ませることもできます。

最近は「ネットブックPC」と呼ばれる小さなノートパソコンが人気ですが、ネットブックPCはかなりクラウド・コンピューティングの利用を意識した設計になっています。

ネットブックPCはインターネットが快適に使える程度の性能に抑えて、編集作業や保存はクラウド・コンピューティングのサービスでも間に合うという使い方が想定されています。高性能なCPUも大容量の記憶装置もいりません。高性能にする必要がなければ小さく安く作ることができるというわけです。

クラウドコンピューティングでエコ対策?

この夏は省エネ性能が高い「グリーン家電製品」を購入すると、いろいろな商品やサービスと交換できるエコポイントがもらえるようになりました。

ところがパソコンはテレビや冷蔵庫よりずっとたくさんの電気を使いますから、エコな観点からするとパソコンの省エネ対策も重要です。テレビや冷蔵庫を省エネ効果の高い製品に買い換えても、エコポイントで消費電力の大きな高性能パソコンを買うと、電気代は変わらないかもしれません。

もしパソコンの使い方をクラウド・コンピューティング中心にすれば、ネットブックPCや電量消費の少ない低い性能のパソコンでも間に合うので、電気代は減らせるかもしれません。

Webブラウザさえあれば、OSはなんでもいい

クラウド・コンピューティングはインターネット回線とWebブラウザだけあればいいので、OSはWindowsだろうとMacOSだろうと構いません。

「Google Chrome」や「Firefox」などのWebブラウザはWindowsでもMacOSでもLinuxでも使えるので、OSが変わっても同じように使えます。今年の秋にはマイクロソフトから「Windows 7」が発売されますが、クラウド・コンピューティングを利用するなら無料で使えるLinuxで間に合います。

パソコンを買い換えるときもLinuxを使えば、今までWindowsに払っていた1万円以上の出費がなくなります。ネットブックPCではLinuxを搭載した機種も販売されていますし、マウスコンピューターのようにOSが付属しないパソコンが買えるメーカーもあります。

マイクロソフトはWindowsを普及させて、ワープロや表計算ソフトも当然「Microsoft Offece」でしょ!というインターネットのこちら側、つまりパソコンの中を牛耳ることで成長を続けてきました。でもクラウド・コンピューティングを利用すれば「Microsoft Offece」どころか、Windowsも必要なくなります。

クラウド・コンピューティングのデメリットは?

ここまではクラウド・コンピューティングのメリットを考えてみました。でもメリットがあれば当然デメリットもありますよね。

セキュリティに対する不安

勘のいいあなたなら気づいているでしょうが、データを全てインターネット上に置くことへの不安があります。もしクラウド・コンピューティングのシステムから個人情報が流出したらどうなるでしょう?

例えば表計算で作った住所録や毎月の家計簿、データベースに書きつづった日記などが丸裸で流出する、という可能性もなくはありませんよね。メールには個人を特定する情報や趣味嗜好がわかる内容がたくさん含まれています。

こういうプライバシーに関するデータは雲の上にあるよりも、やっぱり手元のパソコンの中に置いておきたい気がします。

インターネットが不通だとお手上げ

当たり前のことですが、データをクラウド上に置いてしまうと、インターネットがつながらないときには何もできなくなります。

プロバイダも時どきシステム障害やメンテナンスで回線が普通になることがあります。そんなときデータがパソコンの中にあればパソコンの中で作業ができますが、全部クラウド上に保存してしまうと手も足も出せません。

またインターネット回線やクラウド・システムが混雑しているときは、快適に作業できないかもしれません。最悪の場合、データを保存しようとしたら接続がタイムアウトして、編集中のデータが消えたということもありえます。

そのサービスがいつまで存在するかわからない

インターネットの世界は刻々と変わっていきますから、今まで使っていたサービスが突然終了するということもあります。自分が慣れ親しんで使っていたサービスも人気が出なかったとか、サービスを提供していた企業そのものがなくなったなどの理由で消滅する可能性も捨て切れません。

なんでもできる、とは限らない

個人を対象にした無料のクラウド・サービスでは、パッケージ・ソフトほどの多機能は望めないこともあります。

私たちが普段使っているソフトウェアは使いきれないほどの機能がありますが、クラウドで提供されているソフトウェアの機能が限定されていると、ここをこうしたいと思ってもできないかもしれません。

標準がない、という不便さ

逆に機能は豊富でも、そのサービスの使い方がわからないということもあります。

WindowsやMicrosoft Officeのような標準的なソフトであれば、使い方がわからなくても検索したりマニュアル本を買って調べることができます。ユーザーが多いと情報も多いというのは大きなメリットです。

でも自分が使っているクラウド・コンピューティングのサービスがちょっとマイナーなものだったりすると、使い方を調べるのにも一苦労するでしょう。

どこのサービスでも一応はユーザー向けに説明を掲載しているでしょうが、なにを言ってるのかわからない文章だけは、クラウド時代になっても不変不滅の法則のようです。

あの世とこの世を漂う浮遊霊的な使い方

これからはクラウド・コンピューティングだよねと言っても、パソコンの使い方がすぐに雲の上だけに移ることはないでしょう。少なくとも当分のあいだはクラウドなサービスとパソコンの中の世界はお互いに補完しあう状態が続きそうです。

なにをクラウドに任せて、なにをパソコンの中で行うかは人それぞれですが、しばらくは雲の上と下界を行き来するハイブリッドな使い方が続き、やがてゆっくりとクラウドな世界に成仏していくと思います。

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